眼科
診療案内
診療内容・治療方針
群馬大学眼科は群馬県とその周辺の人口300万人を擁する中核病院であり、北関東地域の最終医療機関として眼科疾患の治療を行っています。複数の専門外来を有しており、多岐にわたる眼科疾患の多くを網羅していることが特徴でそれぞれの専門家が責任を持って治療にあたっています。
主な対象疾患
- 網膜硝子体疾患(裂孔原性網膜剥離、増殖性糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、黄斑円孔、黄斑前膜など)
- 緑内障
- 白内障
- 角膜疾患
- 斜視・弱視
- 眼部腫瘍
- 外傷
- 神経眼科
- ぶどう膜炎
得意とする分野
裂孔原性網膜剥離、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性などの重症網膜硝子体疾患の治療では国内外から高い評価を得ています。また硝子体手術、緑内障手術件数は全国的にも多い件数で、クリニカルパスの高い適用率で平均在院日数は全国平均より少なく、医療の質が保たれています。
多数の検査機器を応用し、眼所見を多角的に評価します。いくつかの検査を組み合わせることで、診断がより正確になるばかりではなく、相補的に用いることで精度の高い治療評価、経過観察が可能になります。
主な疾患の診療実績
◎代表的疾患の年間患者数(2019年)
病名 | 初診 患者 |
外来件数 (のべ人数) |
入院件数 |
---|---|---|---|
糖尿病網膜症 | 265 | 2,863 | 127 |
網膜剥離 | 433 | 3,680 | 255 |
黄斑円孔 | 69 | 371 | 27 |
白内障 | 1,263 | 9,663 | 213 |
緑内障 | 669 | 5,912 | 238 |
加齢性黄斑変性 | 245 | 5,215 | 20 |
斜視・弱視 | 184 | 2,289 | 78 |
網膜静脈閉塞症 | 135 | 1,034 | 4 |
網膜前膜 | 161 | 1,124 | 76 |
ぶどう膜炎 | 181 | 2,097 | 0 |
その他 | 690 | 2957 | 501 |
合計 | 4804 | 45,667 | 1,539 |
◎治療成績・予後(2019年)
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
020160xx97xxx0 | 網膜剥離 手術あり 片眼 | 237 | 6.52 | 10.21 | 0 | 53.65 |
020220xx97xxx0 | 緑内障 手術あり 片眼 | 215 | 6.73 | 8.51 | 0 | 68.87 |
020200xx9710xx | 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし |
69 | 7.07 | 7.31 | 0 | 69.33 |
020180xx97x0x0 | 糖尿病性増殖性網膜症 手術あり 手術・処置等2 なし 片眼 |
78 | 6.68 | 7.96 | 0 | 53.85 |
020150xx97xxxx | 斜視(外傷性・癒着性を除く) 手術あり | 79 | 3 | 3.28 | 0 | 21.43 |
眼科では、網膜剥離や糖尿病性増殖性網膜症などの失明をきたす重症な網膜硝子体疾患と点眼加療で充分な眼圧下降効果を得られていない緑内障に対する手術を多く施行しています。いずれも北関東の最終医療機関として県内のみならず周辺各県より症例を受け入れており、全国屈指の症例数となっています。手術は複数の執刀医で行っており、ほとんどの手術をクリニカルパスで行っていますので、約1週間の入院期間で全国平均より短いことが特徴です。
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
K280-1 | 硝子体茎顕微鏡下離断術 (網膜付着組織を含むもの) |
498 | 2.02 | 4.95 | 0 | 60.8 |
K282-1ロ | 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他のもの) | 723 | 1.76 | 3.98 | 0.01 | 66.35 |
K268-3 | 緑内障手術(濾過手術) | 111 | 1.66 | 5.27 | 0.01 | 70.26 |
K280-2 | 硝子体茎顕微鏡下離断術 (その他のもの) |
104 | 1.56 | 4.95 | 0 | 67.89 |
K268-2 | 緑内障手術(流出路再建術) | 50 | 2.26 | 6.22 | 0 | 64.82 |
K268-5 | 緑内障手術(緑内障治療用インプラント挿入術)(プレートのあるもの) | 43 | 1.33 | 4.86 | 0 | 68.74 |
眼科では、硝子体手術と緑内障手術が全国屈指の症例数となっています。いずれも白内障手術を同時に行うこともあります。白内障に対する手術である水晶体再建術は、全身合併症を伴う症例や全身麻酔が必要な症例、角膜混濁・小瞳孔など難易度の高い手術を数多く受け入れています。
特殊医療(先進医療を含む)
◎先進医療
「ウイルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法)」
「細菌又は真菌に起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法)」
(2020年10月1日現在)
主な検査や医療設備
<主な検査>
視力検査、屈折検査、眼圧検査、細隙灯顕微鏡検査、
眼底写真、超広角走査型レーザー検眼鏡、光干渉断層計(OCT)、光干渉断層血管撮影(OCTA)、
蛍光眼底造影検査、眼底自発蛍光検査、網膜電位図検査、多局所網膜電位図検査、
角膜内皮細胞顕微鏡検査、前眼部三次元画像解析、光学的眼軸長検査、
静的量的視野検査、動的量的視野検査、色覚検査、眼筋機能精密検査及び輻輳検査 など
専門外来・特殊外来
<網膜硝子体・黄斑疾患>
裂孔原性網膜剥離・黄斑円孔・網膜前膜:散瞳下、詳細な眼底検査及び細隙灯顕微鏡や眼底用コンタクトレンズ、光干渉断層計(OCT)を用いた黄斑部の精密検査を行い、手術の時期・適応を検討します。
糖尿病網膜症:糖尿病によって眼の網膜(物を見る神経の膜)の血管が徐々につぶれていく病気です。早期のうちは自覚症状がありませんが、ある程度重症になると視力の低下が起こってきます。重症になると硝子体出血(眼球の中全体に出血が起こる)、網膜剥離、緑内障が併発し、失明の危険が出てきます。早期発見、早期治療が大切です。糖尿病と診断されたら、必ず眼科受診をしてください。軽いものはレーザーによる光凝固治療(入院不要)でコントロールが可能です。重症な場合、入院の上、硝子体手術を行います。
黄斑ジストロフィー:家族歴など詳細な問診のうえ、散瞳下、詳細な眼底検査及び光干渉断層計(OCT)、眼底自発蛍光撮影(FAF)、視野検査、生理学的検査、造影検査などの多彩な検査を施行します。
<加齢黄斑変性>
欧米では失明原因の第一位で、近年日本でも増加している疾患で、50歳以上の高齢者に、高度の視力低下、変視症、中心暗点などの症状が生じます。抗血管新生療法、光線力学的療法、レーザー光凝固、硝子体内ガス注入術、ステロイド局所療法など病態に応じて治療を選択しています。
<緑内障>
一般に緑内障とは、眼の硬さを示す眼圧が、その人の限界を超えて高くなり視神経が障害されていく病気です。視神経が障害されると徐々に見える範囲(視野)が狭くなっていきます。治療は点眼薬が主体となりますが、点眼薬で治療効果が得られなければ手術を行います。初期の緑内障は自覚症状がなく視野障害が進行しなければ気付きません、しかも40歳以上の人の20人に1人が緑内障であると言われています。そのため、集団健診などを定期的に受けることが重要です。
<角膜>
眼球の前眼部である角結膜の疾患を専門としています。 前眼部にはドライアイ、アレルギー、翼状片、角膜潰瘍、角膜炎、円錐角膜など、さまざまな疾患があります。当科では群馬県アイバンクの協力を得て、県内外の角膜疾患の患者さんに対し角膜移植を行っています。角膜移植には全層角膜移植術や角膜内皮移植術などがあり、患者さんの状態により、角膜移植手術と白内障手術の同時手術なども行うこともあります。そのほか、角膜表面の難治性疾患に対し羊膜移植術も行っています。また、角膜の感染症に対して蛍光顕微鏡およびPCR検査を用いて細菌、真菌、ウイルス、アカントアメーバの特定ができ、積極的に検査をすることでより確実な治療を目指しています。
<コンタクト外来>
円錐角膜、無水晶体眼、無虹彩眼など特殊なコンタクトレンズに対応しています。
<斜視・弱視>
最初に斜視や弱視をきたす原因を検索します。原因によって治療法が違いますが、通常の先天的な斜視では眼鏡による屈折矯正やプリズムレンズを使った治療、手術などを状態に応じて行います。子供の斜視では両眼視機能(具体的には距離感や立体感)を発達させることを特に大切にしています。弱視治療では眼鏡による屈折矯正に加え、良いほうの眼を遮蔽して、弱視眼で見る訓練などで治療しています。いずれも治療期間が長期にわたることが多いのですが根気よく治療に取り組んでいただくことが大切です。後天的な斜視の治療も行っていますのでご相談ください。
<涙道疾患>
涙道が詰まっている場合は、通水検査をして、どこが閉塞しているか調べます。閉塞の部位や程度により手術が必要になります。手術方法は大きく分けて2通りあります。ひとつはもともとの涙道を再建する方法、もうひとつは新しい涙の通り道をつくる方法です。涙管シリコンチューブ留置術:もともとの涙道を再建する方法です。涙道に細いシリコンの管(シリコンチューブ)を挿入し、留置します。シリコンチューブにより再閉塞を防ぎ、狭窄部を広げます。涙嚢鼻腔吻合術:新しい涙の通路を作る方法です。上の方法で通らない場合や、涙嚢炎のある場合に行います。鼻の骨に小さな穴をあけて、涙が直接鼻腔に流れるようにします。
<その他の疾患>
義眼については、眼瞼の形状や眼球運動に留意した再建を行い、左右のバランスのとれた眼を目指します。
医師紹介
氏名 | 職名 | 専門分野・資格 |
---|---|---|
秋山 英雄 AKIYAMA Hideo |
教授・科長 |
【専門分野】 【資格】 |
戸所 大輔 TODOKORO Daisuke |
准教授 |
【専門分野】 【資格】 |
松本 英孝 MATSUMOTO Hidetaka |
講 師 |
【専門分野】 【資格】 |
篠原洋一郎 SHINOHARA Yoichiro |
講 師 |
【専門分野】 【資格】 |
新田 啓介 NITTA Keisuke |
助 教 |
【専門分野】 【資格】 |
中村 考介 NAKAMURA Kosuke |
助 教 |
【専門分野】 【資格】 |
齊藤 千真 SAITO Kazuma |
助 教 |
【専門分野】 【資格】 |
星野 順紀 HOSHINO Junki |
助教(病院) |
【専門分野】 【資格】 |
三村 健介 MIMURA Kensuke |
助 教 |
【専門分野】 【資格】 |
得居 俊介 TOKUI Shunsuke |
助 教 |
【専門分野】 【資格】 |
新井 陽介 ARAI Yosuke |
助教(病院) |
【専門分野】 【資格】 |
菊池 悠佳 KIKUCHI Yuka |
助教(病院) |
【専門分野】 【資格】 |
*定員内職員のみ掲載しています
外来診療予定表
初診受付:午前8時30分~10時30分まで(紹介状をお持ちください)
再診受付:午前8時30分~15時まで(予約制)
ご不明な点は眼科外来(TEL 027-220-8342 外来診療棟1階)までお問い合わせください。
2020年10月1日現在
月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
---|---|---|---|---|
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