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放射線治療科

診療案内

診療内容・診療方針

悪性腫瘍の治療法は、手術、放射線治療、化学療法(抗がん剤)の三つに大きく分けられます。腫瘍の種類や進行度によって選択すべき治療法は異なりますが、放射線治療は、体に負担の少ない優れたがん治療法の一つで、患者さんの価値観に合わせた治療が可能となります。また、手術とは異なり、臓器を取らないので、形態や機能、整容性を保つことができるのが大きな特徴です。たとえば、喉頭癌(声帯の癌)の場合、声帯を残した状態で治療することが出来るので、治療後も発声するという機能を残すことができます。
放射線治療の方法には身体の外から放射線を照射する外部照射法と、放射線を出す線源を直接、病変部や、食道、子宮などに挿入して治療する小線源治療があります。どちらかひとつの放射線治療をすることもあれば、外部照射法と小線源治療を組み合わせて治療することもあります。放射線治療は、がんを完全に治すことを目的とする治療から、症状を和らげるための治療まで、幅広い役割を担っています。
治療方針については、患者さんとよく相談をするのはもちろんですが、対象疾患が広いので、内科、外科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、産科婦人科、脳神経外科等それぞれの腫瘍の専門医ともよく相談し、患者さんにとって最善と思われる治療を行なっています。また、2010年からは先進医療として重粒子線治療も開始され、現在では骨軟部腫瘍、頭頸部悪性腫瘍、前立腺癌、肝細胞癌、肝内胆管癌、局所進行膵癌、局所大腸癌、局所進行性子宮頸部腺癌が保険適応となっています(病状によっては保険適応とならない場合があります)。

主な対象疾患

中枢神経系腫瘍、頭頸部腫瘍、肺・縦隔腫瘍、消化器癌(食道癌、膵癌、胆道癌、肝癌、大腸癌など)、乳癌、泌尿生殖器腫瘍、子宮癌、皮膚癌、骨・軟部腫瘍、造血器腫瘍、小児腫瘍、対症療法、ケロイド予防、甲状腺機能亢進症、甲状腺眼症など

得意とする分野
  • 近年、放射線治療技術の進歩はめざましく、標的のがんに対して強く、周囲の健常臓器には優しい“高精度治療”が可能となっています。
    当院では、高精度治療として、重粒子線治療、定位放射線治療(SBRT: Stereotactic body radiotherapy)、強度変調放射線治療(IMRT: Intensity-modulated radiotherapy)、画像誘導小線源治療(IGBT: Image-Guided Brachytherapy)が可能であり、患者さんお一人お一人に最善の個別化医療を提供することが可能です。
  • 国内で重粒子線治療を行っているのは7施設のみです。当院では、大学病院併設の重粒子線治療施設であることの強みを活かして、集学的治療が必要な患者さんやがん以外の併存疾患がある患者さんに対しても、他診療科と連携を行いながら専門的な医療を提供することが可能です。併存疾患により他施設では治療が困難であるとされた患者さんにも重粒子線治療を提供することが可能です。また、当院では国際的なトレーニングコースを行うなど重粒子線治療の国際的な普及にも努めています。
  • 婦人科腫瘍、特に子宮頸癌における小線源治療では、本邦でもいち早く治療室内にCTを設置し、CT画像を元に腫瘍の形状に合わせ放射線を投与する画像誘導小線源治療(IGBT)を導入し、良好な治療成績を報告しています。この経験を活かし、当院では国際的なトレーニングコースを行うなど、婦人科腫瘍の分野で世界をリードする施設となっております。
主な疾患の診療実績
代表的疾患の年間治療患者数(2022年度)(重粒子線治療患者を除く)
原発部位 症例数 原発部位 症例数
脳・脊髄 49 泌尿器・男性性器 25
頭頸部 127 子宮・女性性器 76
肺・気管・縦隔 49 皮膚・軟部 40
食道 46 悪性リンパ腫 31
胃・十二指腸・小腸 2 造血器 (悪性リンパ腫除く) 26
大腸・肛門 18 小児(全臓器) 9
肝臓・胆道・膵臓 13 良性疾患 9
乳腺 98 その他 1
放射線治療総数 619
特殊医療(先進医療を含む)
重粒子線治療

重粒子線治療は、炭素イオンを高速に加速して照射を行います。重粒子線の物理学的な特性から、腫瘍局所に放射線を集中的に照射し、周囲の健常臓器の影響を最小限にすることが可能となります。また、通常の放射線治療では十分な効果が得られないような放射線(X線)抵抗性の腫瘍に対しても、効果が期待できる画期的な治療法です。併存疾患などで手術が不可能な患者さんや、腫瘍の局所的な進行で外科切除が困難な患者さんに対しても治療が可能です。当院は、大学病院としては国内で初めての重粒子線治療装置が設置され、2010年3月より重粒子線医学センターにて治療を開始しました。

代表的疾患の年間重粒子線治療患者数 (2022年)
疾患 症例数
泌尿器腫瘍 574
肝臓腫瘍 63
膵胆道腫瘍 55
骨軟部腫瘍 38
頭頸部腫瘍 41
呼吸器腫瘍 33
下部消化管腫瘍 12
転移性リンパ節腫瘍 13
婦人科腫瘍 13
頭蓋底腫瘍 1
重粒子線治療総数 843
重粒子線治療を希望される患者さん・ご家族へ

重粒子線治療を希望される多くの患者さんに対して、より適切にかつ円滑な診療をおこなうために、重粒子線医学センターでの初回の外来診療は、完全予約制で、医療機関(群馬大学医学部附属病院を含む)からの予約のみの対応とさせていただいております。詳細はこちらのページ(http://heavy-ion.showa.gunma-u.ac.jp/)をご覧ください。

■重粒子線医学センター・外来の予約に関するお問い合わせ

TEL 027-220-7733(月-金曜日8:30-17:00、祝祭日・年末年始を除く)

※病状や適応に関するご質問などは、こちらのページ(http://heavy-ion.showa.gunma-u.ac.jp/)をご参照の上、主治医の先生や当外来の担当医師におたずね下さい。

主な検査や医療設備

【特徴的な医療設備】
重粒子線治療施設
定位放射線治療や強度変調放射線治療が可能な放射線治療装置
治療室内CTを完備した画像誘導小線源治療装置

専門外来・特殊外来
中枢神経系腫瘍

脳や脊髄の腫瘍に対しては、機能を保ちながら治療することが重要です。また、腫瘍の発生した場所によっては手術が困難な場合があります。脳や脊髄の腫瘍にはたくさんの種類がありますが、手術、放射線治療、化学療法を組み合わせて治療を行うことが多いです。

頭頸部腫瘍

頭頸部腫瘍の治療には、形態と機能、整容性の温存が重要です。早期癌では、放射線治療でも手術でも治癒率に大きな差はありません。放射線治療は6~7週の外部照射で治療することがほとんどです。
進行した癌では化学療法と一緒に放射線治療を行います。通常の放射線治療(X線治療)が効きにくい非扁平上皮癌や悪性黒色腫に対しては重粒子線治療が適応になることもあります。

肺・縦隔腫瘍

肺癌では6~7週の放射線治療が行われます。放射線治療の効果を良くするために化学療法を併用して治療を行うこともあります。I期の肺癌に対しては定位放射線治療という、病巣への線量を集中させ約1週間で照射が終了する治療も実施しております。I期、III期の非小細胞肺癌に対しては重粒子線治療も適応となる場合があります。

消化器癌

食道癌では、原則として放射線治療と化学療法を組み合わせた治療を行います。進行直腸癌に対しては、肛門を温存するために手術前に、放射線治療と化学療法を組み合わせた治療も行っています。難治性腫瘍である膵癌には、外部照射に化学療法などを組み合わせて、生存率の向上を目指しています。肝臓癌、膵癌、直腸癌術後再発に対しては重粒子線治療も行っています。

乳癌

乳房温存手術後には乳房内の再発率を下げるために放射線治療を加える事が推奨されています。抗がん剤やホルモン剤との組み合わせで治療することが多いため、乳腺外科・担当医と相談しながら治療を進めます。

泌尿生殖器腫瘍

前立腺癌に対しては様々な放射線治療の方法があります。強度変調放射線治療などの外部照射や、永久挿入療法などの小線源治療、重粒子線治療が治療方法として候補となります。病状や患者さんの希望に合わせて、治療を行っています。

婦人科腫瘍

放射線治療の効果が特に高いのは子宮頸癌で、手術と同等の治療成績があげられています。治療は外部照射と子宮の内側からの照射(腔内照射)を組み合わせて行います。近年では通常の腔内照射に組織内照射を組み合わせ、画像で得られた腫瘍の範囲に放射線を効率的に集中させる方法(IGBT:Image Guided Brachytherapy)を積極的に取り入れています。

造血器腫瘍

悪性リンパ腫では、化学療法で治療されることが多いですが、眼窩(がんか=眼の奥)や胃などにできたMALTリンパ腫と呼ばれる比較的悪性度の低い悪性リンパ腫では、放射線治療単独で治療することがあります。また、骨髄移植の前処置として、全身に照射を行なうことがあります。

その他、対症療法、良性疾患など

がんの骨への転移による痛みやしびれなどの神経症状は、放射線治療により改善が見込まれる症状です。特に、骨への転移に対する疼痛の緩和は70-80%で得られます。脳転移による麻痺やけいれんなどの神経症状、胸部の腫瘍による上大静脈症候群などの症状緩和も放射線治療の適応です。甲状腺機能亢進症に伴う甲状腺眼症に対しても放射線治療を行っております。

医師紹介

氏名 職名 資格
大野 達也
OHNO
Tatsuya
診療科長
教 授
日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会共同認定 放射線治療専門医、
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医、
日本医学放射線学会 研修指導者
河村 英将
KAWAMURA
Hidemasa
教 授 日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会共同認定 放射線治療専門医、
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医、
日本医学放射線学会 研修指導者
岡本 雅彦
OKAMOTO
Masahiko
准教授 日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会共同認定 放射線治療専門医、
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医、
日本医学放射線学会 研修指導者
岡野奈緒子
OKANO
Naoko
准教授
(共同研究講座)
日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会共同認定 放射線治療専門医、
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医、
日本医学放射線学会 研修指導者
渋谷  圭
SHIBUYA
Kei
講 師 日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会共同認定 放射線診断専門医、
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医、
日本医学放射線学会 研修指導者
久保 亘輝
KUBO
Nobuteru
講 師 日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会共同認定 放射線治療専門医、
日本医学放射線学会 研修指導者
尾池 貴洋
OIKE
Takahiro
講 師 日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会共同認定 放射線治療専門医、
日本医学放射線学会 研修指導者
安藤  謙
ANDO
Ken
講 師 日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会共同認定 放射線治療専門医、
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医、
日本医学放射線学会 研修指導者
入江 大介
IRIE
Daisuke
助 教 日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会共同認定 放射線治療専門医、
日本医学放射線学会 研修指導者
大西 真弘
ONISHI
Masahiro
助 教 日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会共同認定 放射線治療専門医、
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医、
日本医学放射線学会 研修指導者
小林 大二郎
KOBAYASHI
Daijiro
助 教 日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会共同認定 放射線治療専門医
宮坂 勇平
MIYASAKA
Yuhei
助 教 日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会共同認定 放射線治療専門医
日本医学放射線学会 研修指導者
熊澤 琢也
KUMAZAWA
Takuya
助教(病院) 日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会共同認定 放射線治療専門医
大高  建
OTAKA
Takeru
助教(病院) 日本専門医機構認定 放射線科専門医
武者  篤
MUSHA
Atsushi
助 教 日本口腔外科学会認定 口腔外科認定医、
日本歯科放射線学会認定 歯科放射線認定医、
日本歯科放射線学会認定 口腔放射線腫瘍認定医

外来診療予定表

初診受付: 午前8時30分~10時30分まで(紹介状をお持ちください)
再診受付: 午前8時00分~11時00分まで(予約制)
ご不明な点は放射線治療科外来(TEL 027-220-8391 外来診療棟2階)までお問い合わせください。

放射線治療科外来
027-220-8391
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